夏といえば冷たいうどん。
ざるうどんやぶっかけうどんは食欲がない夏でもおいしく食べられる強い味方ですよね。
ところで、「ざるうどん」ってざるが敷いていなくても「ざるうどん」と呼ぶって知っていました?
うどん屋さんに「かけうどん」と「ぶっかけうどん」があるのにそば屋さんにはどちらかしかない理由は何だと思いますか?
今回は、ざるうどんのことを中心に讃岐の人でも意外と知らないうどんのことについて詳しくご紹介していきます。
ざるうどんともりうどんの違い
結論から言うと、讃岐うどんに「もりうどん」はありません。
のりをかける、皿に盛られるなど、どんな違いがあっても水を切って盛りつけられたつけ麺スタイルのうどんはすべて「ざるうどん」と呼ばれます。
しかし、地域によって「海苔をかければざるうどん、かけなければもりうどん」と区別されているところもあるようです。
これはもともと「そば」の呼び方から来ているよう。
そばに見られる「ざる」「せいろ」「もり」の起源
もともとそばはざるに盛りつけられたものをつけ麺スタイルで食べるのが一般的でした。
やがて、つゆをそのまま麺にかけて食べるぶっかけスタイルが登場します。
最初は「ぶっかけそば」という呼び方をされていたと言われていすが、その名前が略され「かけそば」「もりそば」という名前で区別され、定着していきました。
そばの「かけそば」と「ぶっかけそば」は同じものなので、同じお店に両方の名前が並ぶことはまずありません。
その後、竹ざるに盛って出されるそばが登場し「ざるそば」と名付けられると、もりそばとは別のスタイルで定着していきます。
「ざる」と「せいろ」が別々に呼ばれるのもこのあたりが起源とされています。
明治時代からはざるそばには海苔をかけるようになり、「のりをかけたらざる」「そのままもられたらもり」と区別されるようになりました。
「ざる」と「もり」の地域差
そばとうどんの食文化は地域によって差があり、讃岐をはじめとする西日本ではうどん文化が主流。
一部そばを食べる地域はありますが、「ざる」「もり」「せいろ」の登場に影響されることはなく、基本的にすべて「ざる」と呼ばれます。
一方で、北海道や関東・甲信越地方などそばを多く食べる地域では今でもきちんと区別して呼ぶ人が多いようです。
讃岐うどんのざるは昭和に入って誕生した
讃岐うどんにおける「ざるうどん」の誕生は、生醤油うどんの発展型。
ざるに盛りつけ、つゆにつけて食べるつけ麺スタイルも、その始まりは昭和に入ってからとされています。
そばをヒントにしたかどうかは定かではありませんが、結果的にざるそばと同じようにざるやせいろに盛りつけられたつけ麺スタイルのうどんのことをざるうどんと呼ぶようになりました。
もともとそばでもつけ麺スタイルのものはすべて「ざる」と呼ばれる西日本。
うどんの呼び方も同様で、讃岐うどんの各お店が同じようにつけ麺スタイルのうどんを提供するようになっても呼び方を変える店舗はほとんどありません。
今でもお店ごとの違いはあっても呼び方は「ざるうどん」で統一されています。
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ざるうどんと冷やしうどんの違い
ざるうどんの最も単純な定義は、水を切ったうどんを盛り付け、つゆにつけてつけて食べる「つけ麺スタイル」のうどんのことを言います。
茹でたうどんを一度流水で締め、その後水を切って盛り付けるので食べている時につゆが薄まりにくいのが特徴です。
せいろに盛り付けているか、ざるが敷いてあるお皿に盛り付けてあるかはもちろん、お皿にざるが敷いてあるかないかも関係なく、等しくざるうどんとなります。
一方、冷やしうどんはいろいろな定義がありますが、讃岐うどんで一般的に「冷やしうどん」をお店で注文するとしたら、氷水などに入れたうどんをつゆにつけて食べるうどんのことを言います。
同じつけ麺スタイルですが、水を切っていないため食べると少しずつつゆが薄くなっていきます。ただ、ざるうどんに比べてずっと冷たいままの状態でうどんが食べられるので、とにかく冷たくてコシのある麺を食べたいという方にはこちらの方がおすすめです。
冷たいぶっかけタイプのうどんも冷やしうどん?
一般的な家庭のレシピなどを見ると、うどんに冷たいつゆをかけて食べるうどんを総じて「冷やしうどん」と呼んでいることが多くあります。
オリジナルメニューの多いレシピサイトでは、冷やかけうどんやぶっかけうどんはもちろん、サラダうどんや冷やし坦々うどんなど、さまざまなレシピをすべてまとめて、冷たいうどん=冷やしうどんとしてジャンル分けしています。
一方、讃岐うどんのお店ではそれぞれ「ぶっかけうどん」「サラダうどん」など、固有の呼び方で統一されています。
冷やしうどんもそういったメニューのひとつとなっているため、注文すれば、氷水に入ったうどんが出てくると思って間違いありません。
ざるうどんとぶっかけうどんの違い
ざるうどんとぶっかけうどんの違いが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「かけそば」「もりそば」と同じ関係をうどんにすると「ぶっかけうどん」「ざるうどん」ということ?
なら、なぜ呼び方がうどんとそばでまったくちがうの?
と、気になりますよね?
もともとざるが主流だったそばに対し、うどんの主流は「かけうどん」でした。
だしに絡めた薄口醤油ベースのつゆをかけて食べる、今でも讃岐うどんのスタンダードです。
濃口醤油ベースのつゆをかけて食べるざるうどんが登場したのは昭和になってからのこと。
さらにその後、ざるうどんのつゆをそのままかけて食べたのが始まりとされる讃岐の「ぶっかけうどん」の登場となります。
そばとは発祥の流れが反対
そばの場合、もりそばからぶっかけそばが生まれ、略してかけそばの名前で統一されました。
しかし、うどんの場合はもともとかけうどんがあったため、略すことができません。
現在もざるうどんのつゆをぶっかけて食べるスタイルをぶっかけうどんとし、かけうどんは別の味付けをしたつゆを使ったうどんとして定着しています。
讃岐のぶっかけうどん
讃岐のぶっかけうどんはいつ、どのようにして誕生したのか。
それは、讃岐のぶっかけうどんの元祖とされる「山下うどん」でも、正確な記録としては残っていません。
それでも、今では地域に浸透し、肉ぶっかけやとろろぶっかけなど、さまざまなアレンジが加えられ、ざるうどんとは一線を画しています。
ただ、うどんにかけられるつゆ自体はざるうどんと同じ濃口醤油がベース。
シンプルにぶっかけうどんとざるうどんを比較した場合、違いはつけ麺スタイルかどうかしかありません。
ざるうどんの作り方
ざるうどんを作るポイントは麺選びから。
ゆで麺、冷凍麺、乾麺、半生麺、生麺と、うどんといってもさまざまな麺がありますが、コシがあるつるつるのざるうどんを食べたいとなると、最低でも冷凍麺、できれば生麺や半生麺を使うことをおすすめします。
なぜなら、ざるうどんは「うどんの味や食感、のどごしなどを楽しむ」ものだからです。
ゆで麺、冷凍麺、乾麺、半生麺、生麺、どれがおすすめ?
最近の冷凍うどんは非常にクオリティが高いので、手軽で簡単に、コシのあるおいしいうどんを食べることができます。
とは言え、本当においしいうどんを食べようと思ったらやっぱり生麺や半生麺がおすすめ。
香川の人であれば、そんな贅沢するぐらいならお店に食べに行くと思っている方も多いかもしれませんが、気軽に讃岐うどんを食べられるお店が近くにない場合はお取り寄せなどもおすすめです。
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ざるうどんのカロリーってどれくらい?
ざるうどんは1人前あたりでだいたい300キロカロリー程度。
クリームパンやアップルパイ、さんまの塩焼きなどと同じくらいと考えると、意外と多いかもと思うかもしれませんが、牛丼なら一般的な並盛りで700キロカロリーを超えています。
ダイエット食としてよく取り上げられているそばと比較してみてもあまり変わらないため、決して高い方ではありません。
また、茹で上がった後の重さで比較するとそばよりもうどんの方が水分を多く含むため、結果的にうどんの方が重量に対するカロリーが低くなるようです。
ただし、うどんは塩分の含有量が多く、中身も炭水化物やタンパク質などがメインのため、ざるうどんばかりを食べ続けるのはあまり体に良くありません。
ざるうどんに食べ方ってあるの?
ざるそばには決まった食べ方がありますが、ざるうどんにも同じようなルールがあるのかと思った方がいるかもしれません。
もしかすると蕎麦のように最初の1本はつゆにつけず小麦粉の風味を楽しんでいるツウな方もいるかもしれませんが、基本的にはそういった作法のようなものはありません。
ちなみに、お店によってさまざまな薬味が出てくることがあります。
ネギやいりごま、大葉、ミョウガ、生姜。さぬきうどんでは少数ですが、中にはわさびやうずらの卵がついてくるお店も。
こういった場合は、まずは何も入れないでうどんとつゆの味を楽しみ、変化がほしくなったタイミングで薬味を入れながらさまざまな味を楽しむというのも、ざるうどんを楽しむポイントのひとつと言えます。
一番好きな食べ方で楽しむのがおすすめ?
うどんの楽しみ方は人それぞれ。
薬味やおかずなどを自由に取って食べるセルフサービスのお店も多く、何を、どれだけトッピングするかも自由に自分で決められる場合が多いです。
自分が一番好きな食べ方を見つけて、おいしいざるうどんを楽しんでください。
まとめ
いかがでしたか?
讃岐うどんにもりうどんはなく、海苔のある、なしや盛り付けの方法に関係なく、すべてざるうどんと呼ばれています。
そして、ざるうどんとかけうどんはまったく別もので、逆にざるうどんとぶっかけうどんはかなり近い関係であることが分かったと思います。
ぜひ、讃岐うどんを食べに訪れた際には、こういった豆知識も含めて楽しんでみてください。