うどんに魅力を感じ、自宅でもおいしいさぬきうどんを作りたい。そう思ったことはないでしょうか。
そして、お気に入りの半生麺を買ってきて茹でるものの、おいしくない。というか、むしろマズい。といった経験をされた方は私だけではないはず。きっとこれは茹ですぎたんだな。そう思ってゆで時間を短くするもあえなく撃沈。いったいお店と何が違うのだろう。同じ麺ではないのか。我が家のキッチンではさぬきうどんは調理できないのか。それとも調理器具をそろえないと無理なのか。
そんな悩みを持っている方のために・・・という大義名分のもと、おいしいうどんを食べるためにpipppi編集部が半生うどんのおいしい茹で方を研究してみました。コシをだすコツや美味しく茹でるポイントをご紹介します。
使用するのは石丸製麺さんの半生うどん。そもそも半生うどんとは?
今回使わせていただいたのは「石丸製麺」さんの半生麺。賞味期限は製造より3ヶ月です。
うどんには、乾燥うどん、生うどん、半生うどんの3種類があり、それぞれ水分をどのくらい含むのかで分かれています。
- 生うどん…材料を練り上げたうどん生地を切ったもの。ツルツルもちもちのコシが特徴。保存期限は1〜3日ほど。
- 乾燥うどん…うどん生地を乾燥させたもの。乾麺特有の食感。保存期間は1年ほど。
半生うどんとは、生うどんをある程度まで乾燥させたもので、生うどんのコシがありながら、保存期間は1〜2ヶ月ほどとなります。つまり、生うどんと乾燥うどんのいいとこ取りをしたようなうどんということです。
上手に茹でることでお家でも讃岐うどんのようなツルツルもちもちのコシのあるうどんを楽しめます。
また茹で時間は10分〜15分ほど。製麺所によって異なるので、パッケージに書かれている作り方を確認することが大事です。
ちなみに冷凍うどんは、一度茹でたものを冷凍しているうどんです。
石丸製麺のレシピを確認!さぬきうどんのおいしい茹で方を検証
袋の裏のパッケージには作り方がしっかりと書かれています。
①麺1袋(2人前)につき水を3リットル以上入れて十分に沸騰させること
②ふきこぼれに注意しながら差し水をせず茹でること
・かけうどん・・・12分
・ざるうどん・・・15分
・ぶっかけうどん・・・15分
お湯の量、茹で方、茹で時間などは、うどんの太さやパッケージに入っている量によっても異なります。また、統一規格はないので、茹で時間は再沸騰してから。水の量は4リットルなど、販売元によってもルールが異なります。そのため、しっかりと読んでから調理を開始することをおすすめします。
まずたっぷり水を入れ、きっちり沸騰させる
いきなりですが、ここで早くも第一ポイント。「水を3リットル以上」って、普通の鍋では早くも敗北です。というか、麺1袋に対して水3リットルってすごい量ですけど、どういった意味があるのでしょうか。
①水の量が少ないと麺を入れた時に急激に温度が下がってしまう
②小さい鍋だと麺がうまくほぐれず、茹で加減にムラが出てしまう
水を3リットルも入れるのにはこういった理由があるようです。ちなみに①の理由から、しっかりと沸騰する前に焦ってうどんをいれてしまうのも禁止です。ぐつぐつ沸騰するのをしっかり待ちましょう。
もし、大きな鍋がない場合は2回に分けて茹でることをおすすめします。
※ちなみに写真の状態だとだいぶグツグツいってますがまだまだです。水面が荒れるぐらいまで完全に沸騰させてください。
お湯の温度はうどんの茹で方に大きく影響してきます。水の量が少ないとダメな理由のひとつに「温度が急激に下がる」というものがあります。せっかく3リットルのお湯を沸かしてもしっかり沸騰する前に麺を投入してしまうと同じように温度が低いまま茹で始めることになってしまいます。ちょっと時間がかかりますが、しっかりと沸騰させてから麺を投入するようにしてください。
しっかり沸騰したら麺を投入する
水がしっかりと沸騰したらうどんを投入します。お店によって「麺をほぐすように」と書かれているものと「面はほぐさずそのまま」と書かれているものがあります。石丸製麺さんの半生麺はほぐすようにと書いてあったので、調理箸に乗っけながら少しずつ入れていくことにしました。うどんがくっつかないように気を付けながら入れれば良いかなと思います。ちなみに、写真映えを考えて箸を使っただけなので基本手で持ってやってもOKです。
★熱湯なので火傷に注意してください
半生麺を沸騰したお湯に投入するとき、あまり乱暴に触ると麺が折れてしまうことがあります。優しくそっと触り、お湯に投入してください。「ほぐしながら」と書いてあっても軽く1本1本分けるようにする程度にするのがおすすめです。パスタの生麺のようにほぐすと麺が折れてしまう可能性があります。
うどんを鍋に投入したら触らない
うどんを鍋に投入したら沸騰が少し弱まり、麺が鍋の底に沈んでいきます。
ポイントはここで触らないこと
お湯にうどんを投入してすぐは触らずうどんが浮き上がってくるのを待ちましょう。しっかりお湯を沸騰させていればすぐにうどんは浮き上がってきます。それまでは「鍋の底にうどんがくっつかないかな」と気になったとしてもひとまず触らないのが鉄則です。
投入してすぐに麺を触らない理由は麺俺を防ぐため。うどんの麺は半生の状態で強い衝撃を与えると折れてしまいます。鍋に投入してすぐはまだ固さが残っているため、しばらくは触らずそっとしておくことをおすすめします。
投入してしばらくするとうどんが浮いてくる
しばらく待つとうどんが浮いてきます。こうなったらある程度触ってもOK。軽くほぐしながら鍋の底に麺がくっついていないかを確かめるなどして見守りましょう。ここでもポイントはあまりぐるぐるかき混ぜないことです。3リットルの鍋で沸騰させるとうどんは鍋の中をぐるぐる回るようになります。そうすれば箸を使ってかきまぜなくてもしっかりと温度がうどんに伝わるわけです。中盤戦の茹で方のポイントはあまり触らないこと。この間にぶっかけのダシを用意したり、ネギを切ったり、ゆであがった後の準備をしておきましょう。
うどんの茹で時間は、一度麺を入れてから再びお湯が沸騰したときからカウントすることもあります。茹で時間はどの時点からのものなのか、表記をしっかりとチェックしておきましょう。再沸騰してからの茹で時間であれば、その時間を見極めてタイマーをスタートさせたり時計をチェックしたりしましょう。開始時間を忘れると正確な茹で時間が分からなくなってしまうので要注意です。
再度沸騰すると麺が鍋の中でぐるぐる回る
再沸騰すると鍋の中でうどんがぐるぐる回ります。これこそがおいしいうどんには欠かせないポイントです。うどんが沸騰する鍋の対流に乗ってぐるぐると回り、いい感じに茹っているようすがうかがえます。これだけぐるぐる回っていてもうどんどうしがくっついて固まってしまったりすることがあるので、時々箸でかき混ぜてあげると良いかもしれません。ふたをするとふきこぼれに繋がる可能性が高いので、ふたはせずそのまま茹で続けてください。また、火を弱めることはそれほど問題ではありませんが、序盤から温度を下げ過ぎると沸騰しなくなってしまうので、ふきこぼれない温度に調整しながら茹でていってください。
ふきこぼれを気にするあまり足し水をしてしまうのはNGです。なぜなら、うどんを茹でるのに「お湯の温度を下げない」ことは鉄則だからです。
火加減を調整するなどして、お湯の温度を下げないように工夫をしながらしっかりと茹でてください。
ゆで時間が経ったら水でしっかりしめる
うどんの茹で方を見ると必ず書いてある「水でシメる」というもの。これを本当に真剣に考えたことがあっただろうか。冷水で洗うことではなく、冷水でよく洗うことがポイントだったんです。水を流し、ぬめりを取る。取れたぞ。と思ってもまだまだ水を流し続ける。
すると、うどんがザルの中で弾力を帯びてくるのが分かります。ちょっと水で流すぐらいだと、もっちりとした感覚はあるもののキュッとシマったコシのある麺は再現できません。洗いながら麺の感覚を確かめ、弾力が出るまで流水でしっかりと洗いましょう。
しっかり冷やすことを考えすぎて氷水などでシメるのは禁物です。好みはありますが、やり過ぎると麺が固くなってしまいます。好みの固さを実現させるためにはゆで時間を少し短くするなど、工夫してみるのも良いかもしれません。
ツルツルもちもちなコシのあるうどんが出来上がりました
ぶっかけのダシをかけて盛り付け。生姜派ではなくわさび派なのでわさびをつけまして・・・おいしそうに出来上がりました。腰砕けだった失敗を踏まえてチャレンジした今回は、もっちりとした麺にしっかりとコシがあってなかなかにうまいです。
家でもお店の味が出せるなんてことはないと思っていたのですが、調理器具が悪いわけではなく、やり方を間違っていただけでしたね。
・3リットル(麺の量によって異なる)のお湯をきっちりと沸騰させる
・ふきこぼれないように気を付けながら沸騰を維持させ、時間通り茹でる
・しっかりと流水でしめる