うどんには生姜派?わさび派?違和感の正体に迫る!【あなたはどっち?】

うどんにまつわる話

「うどんには生姜。蕎麦にはわさびと決まっている」という方は多いことでしょう。さぬきうどん店では一般的に、生姜が添えられていますし、メニューによっては最初から生姜がのっていることもあります。

ですが、世の中には「生姜好き」も「わさび好き」もいるんですよね。そこで最近ではわさびを用意するお店も増えてきています。

ですが、うどんの薬味としてわさびが出てくると「え、わさび??いやいや、生姜でしょう!」と思ってしまいませんか?

なぜわさびが添えられるとこんなにも違和感があるのでしょうか?

生姜でなければダメな理由があるのでしょうか?

今回はそんな疑問を解決するためにいろいろ調べていきたいと思います。

うどんには生姜?わさび?

一般的にうどんの薬味は生姜と決まっていますよね。ですが、コンビニや他の県でざるうどんを頼んだら、わさびが出てきて驚いたという人もいるのではないでしょうか?

これまで「うどんには生姜!」と思って生きてきた人にとって、そのショックは大きいですよね。

同じようにうどんの薬味にわさびが出てきて驚く人は少なくないようです。

Yahoo!知恵袋に「うどんにはわさび?しょうが?」という話題が投稿されていました(2009年5月13日付)。

先日うどん屋に行き「冷やしうどん」を注文したら、なんとわさびが付いてきました(>_<)
普通うどんには生姜、そばにはわさびってのは私の思い込みでしょうか?
15年程前なか卯では生姜でした。夫(京都生まれ京都育ち)はわさびやろ?と。他にも、ザルと冷やしで、違うんちゃうか?とも。(それは、盛りとザルやろ!とツッコミましたが…私は大阪府下生まれ&育ちです。)

この投稿に対してはやはり、うどんにわさびは違和感があるとの回答が多く寄せられました。

また、その他にも同様の質問が投稿されています(2017年6月14日付)。

ざるうどんには生姜を入れますか?それともわさびを入れますか?

こちらの問いかけについては、様々な意見がありました。

  • うどんはしょうがかな
  • わさびを入れますね!
  • どちらもいれません。
  • 生姜ですね!!!!
  • ざるうどんはワサビ、釜揚げは生姜

など両論があがります。生姜派がやや優勢という感じです。

「冷やしうどんであればわさびが合う!」という意見もありました。

ですがどうして、うどんにわさびを合わせることにこんなにも抵抗を感じてしまうのでしょうか?そもそも生姜とわさびは、どんな違いがあるのでしょうか?確認してみましょう。

まずは生姜とわさびの違いをチェック

生姜とわさびにはどんな違いがあるのかチェックしてみましょう。

生姜の基本情報

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生姜はショウガ科の多年草で、中国から伝わって来たとされています。

伝わってきてすぐの時期は山椒と同じ「はじかみ」という名前で呼ばれていたため、今となってはどちらの「はじかみ」のことを言っているのか区別が難しく、正確な伝来時期はわかっていません。

ただ、2~3世紀頃には伝わっていたとされており、出土品から、7世紀には既に食用や生薬として栽培が盛んだったことがわかっています。

産地は高知県、熊本県といった西日本の地域が多く、東日本では千葉県と茨城県でも生産されています。

わさびの基本情報

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わさびはアブラナ科わさび属の植物で、きれいな水が流れる渓流沿いで自生していたものが広まり、農業生産されるようになりました。

歴史の資料に残っているもので一番古いものはなんと飛鳥時代。産地は長野県や静岡県、山梨県、東京都(奥多摩)といった中部に集中していて、それ以外は岩手県、奈良県、島根県のように散らばっています。

わさびが育つためにはきれいで低温の水が豊富に流れていて、透水性の高い砂地が必要なため、生産できる地域はかなり限られます。

今でこそ日本のさまざまな地域で栽培されていますが、農業生産に初めて成功したのは江戸時代になってから。静岡県の有東木がわさび栽培の発祥の地です。

生姜とうどんの歴史

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生姜の歴史

生姜の原産はアジアの熱帯地域だといわれていますが正確なことは分かっていません。

中国から日本に伝来し、その後すぐに栽培が始まったようです。もともと日本の気候が栽培に適していたこともあり、農業生産はそう難しいことではなかったのでしょう。

日本最古の歴史書「古事記」にも、に生姜のことを「くれのはじかみ」と呼ぶ記述が残されています。ただ、それ以前のことはまったく分かっておらず、魏志倭人伝の記述から2世紀〜3世紀には伝わっていたと考えられていますが、「誰がいつ日本に持ち込んだのか」という話には諸説あるようです。

また、生姜は体を温めたり免疫力を高めたりする効果があり、生薬としても重宝されてきました。さらに殺菌効果や胃腸の機能向上など、さまざまな効果があることもあって、さまざまな料理に使われてきました。

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わさびの歴史

わさびも歴史は古く、飛鳥時代にはすでに食用として用いられていたようです。しかし、自生している天然のわさびしか用いることしかできず、産地も限られていました。

江戸時代に静岡県の有東木でわさびの栽培に成功し、そのわさびを当時駿河の城で隠居生活を送っていた徳川家康公に献上したところ、たいそうお気に入りの品になったそうです。

これを機に、わさびは関東を中心に少しずつメジャーな薬味として浸透していきます。

そして同時代、江戸前寿司と蕎麦が江戸で爆発的な人気を博し、わさびはその薬味として普及することになります。

「蕎麦にはわさび」というイメージはこのとき作られたものなのかもしれませんね。

何にでも合う生姜と特定のものに合うわさび

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生姜に合う食べ物

生姜といえば紅しょうがやガリなど、薬味としてだけでなく生姜そのものを使った食べ方も一般的です。

さらに、関西では生姜を天ぷらにして食べる文化もあるようです。また、生姜焼きや炊き込みご飯、煮物など、さまざまな料理にも幅広く使われる他、生姜湯やジンジャーエールといった飲み物にも使われます。

生姜はどんな料理に使っても、うまく馴染み、味に程よくアクセントをつけられます。

揚げてよし、焼いてよし、搾ってよし、すりつぶしてよし、本当に何でもありです。

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わさびに合う食べ物

わさびの使いどころとして最初に思い浮かぶのは、やっぱりお刺身やにぎり寿司といった生魚に添える薬味ではないでしょうか?

近年でこそ、「ステーキにわさびをつけるとさっぱりとした味わいになっておいしい」とか、「黒豆納豆にはからしではなくわさびが入っている」とか、さまざまな食べ方が提案されていますが、やはりテッパンは生魚ですよね。

うどんと蕎麦の歴史

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うどんの歴史

うどんは小麦粉を使った中国の料理「餛飩(こんとん)」という料理が名前を間違えたまま伝わり、日本で独自の進化を遂げて今に至ったと言われています。

全国のさまざまな場所で独自のうどんが存在していますが、東京と関西といった区切りをすると関西地域で主に食べられていたようです。

当時の主なメニューは今のような「かけうどん」や「ぶっかけうどん」といったものではなく、卵焼きやかまぼこ、しいたけなどが乗った「しっぽくうどん」だったようです。

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蕎麦の歴史

蕎麦の起源はこれまた中国から伝わったもので、実は今のように麺ではなかったようです。

蕎麦を麺状にしたのは1700年頃、甲州にある棲雲寺の門前蕎麦がうどんを参考にして麺状の蕎麦を出したのが始まりと言われています。

関ヶ原の戦いがあり、天下統一がなされて江戸幕府が開かれたのが1600年を過ぎてから。人の行き来の中で麺状になった蕎麦も江戸に流れていきました。

江戸時代の初期はまだ蕎麦が麺状になっていない頃だったので、うどんの方が主流だったようですが、江戸も後期になると完全に蕎麦屋さんが優勢だったとか。

そして、当時のそばつゆについての記述も残っており「たれみそに大根の汁を加え、削り節、大根おろし、あさつきを入れ、さらに、からし、わさびを加えてもよい」とあります。この記述からも、すでに蕎麦にはわさびという文化は確立されていたことが分かります。

うどんと蕎麦にそれぞれ生姜とわさびを使う根拠はあるのか

さて、うどんに生姜、蕎麦にわさびというのは何か根拠に基づいているのでしょうか。

他の料理を参考にもっとよくわさびと生姜のことを掘り下げていきたいと思います。ということで、定番の食べ物「お寿司と生姜」「お肉とわさび」について相性を考えていきましょう。

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かつおのたたきには生姜が乗っています。

それ以外にもモノによっては生姜が使われている場合を見かけますよね。では、かつおのたたきにわさびをつけるとどうなるのでしょう。

「味」に対する違和感はあるのでしょうか。

詳しく調べてみた結果、かつお、イワシ、アジ、さんまなど、魚の種類によっては生姜を使うことが多い素材があるようです。

青魚は口の中で臭みの残るためで、わさびを使うとこの臭みが強調されるように感じる人も多いのだとか。どうやら生姜を使うことで食べた時の味をうまくコントロールしていたようです。

続いてはお肉にわさび。

お肉と言えば生姜焼きをはじめ生姜との相性が良い料理というイメージですが、最近ではステーキやローストビーフなど、さまざまな料理にわさびが乗っているのを見ますよね。

つまり、味については違和感はないはず。ではどういった理由でそれぞれに使われているのでしょうか。

調べてみると、わさびには脂を中和してくれる効果があるそうです。

口の中がさっぱりとするので食べやすくなるほか、消化の促進効果もあるため実はとっても相性が良いんです。特に脂は胃もたれしてしまったりすることもあるので、消化促進効果はうれしいですよね。

ということで、肉、魚ともに料理によって生姜を使うのか、わさびを使うのかという明確な理由が存在していました。

よって、ただなんとなく好みで使い分けていたわけではなかったようです。

ただ、「違和感」という意味ではうどんと蕎麦のことを考えてみるとイコールで当てはまらないですよね。

後味が生臭いわけでもなければ脂が多くて口の中をさっぱりさせてほしいということもありません。もしかすると、それ以外にもなにか深い理由があるのでしょうか。ということで、よりうどんに近い素材でもうひと調べしてみます。

癖のない代表。それは冷奴。醤油をかけ、薬味を乗せて味わう料理ができなくても作れる代表格です。

圧倒的に支持されているのはやっぱり生姜ですが、好みによってわさびを乗せる人ももちろんいるようです。

あと、わさびだの生姜だの言ってるのがしょうもなく思えてくるぐらいさまざまな創作料理があって、韓国風のピリ辛タレが乗ったかと思えばバジルソースでいただいている方もいて、本当に自由でした。

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かまぼこに生姜はさすがにないかなと思っていたのですが、そもそもしょうが天がある時点で相性が悪いわけがないんですよね。かまぼこの中に紅生姜が練り込まれているわけですから。

また、「生姜はその利用範囲の広さから、かまぼこを刻んでみょうがや大葉、しらすなどに和えてその上から生姜の入ったドレッシングをかける」といったサラダにも使えるので、どちらかというと「刺身」のイメージはわさびに、サラダなどの調理したものは生姜を使うというイメージがあるようです。

つまり、かまぼこを刺身で食べる時にはわさびをつけるというイメージがあるだけで、生姜とかまぼこの相性が悪いというわけではありませんでした。これはもしかしたらうどんにも同じことが言えるかもしれません。

スタンダードにわさびが入る倉敷のぶっかけうどん

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調べていくうちに、さぬきうどんに近い岡山のうどんにわさびが普通に入るものがありました。

それは、岡山県倉敷市にあるふるいちさんのぶっかけうどんです。

さぬきうどんのぶっかけは主にしょうがをつけて食べるのがメインですが、倉敷発祥とされるふるいちさんのぶっかけうどんは冷やはわさびで、温は生姜で食べるのがスタンダードのようです。

うどんに合わせて入っているのも海苔やネギ、大根おろしに卵と天かすと、全部入れされることは讃岐うどんではあまりない気がしますが、どれもさぬきうどんでも見慣れた具ばかり。

冷やも生姜でもまったく問題ないところをあえてわさびの方がおいしいと考えて入れるようになったのではないでしょうか。うどん天下一決定戦で2016年、2017年と二連覇されているので、その味は多くの方に違和感なく受け入れられているようです。

うどんに生姜、蕎麦にわさびの理由

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ではなぜ、うどんには生姜で蕎麦にはわさびなのか。うどんには生姜の方が良いという明確な理由はありませんでした。味の相性も同じです。ということは、他に考えられることといえば広まった場所の違いということになります。

東京は蕎麦が流行り、蕎麦の傍には必ずわさびがあった。

西日本ではうどんが流行り、西日本ではわさびよりも生姜が多く薬味として使われていた。

その流れを汲んで今に至っているという結論が一番しっくりくる気がします。

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そこで、もしやと思い、関東近辺で冷やしうどんをスタンダートとしているうどん店を探してみました。そして見つかったのが水沢うどん。

群馬県の水沢うどんはわさびがついているお店も多いようです。

ちなみに水沢うどんはざるで提供されることが多く、基本的に冷たいうどんで提供されることが多いようです。

つけ汁は醤油とゴマがあるようですが、どちらで出すか、あるいは両方出すかなど、お店によって異なるようです。薬味もわさびだけ、生姜だけ、両方乗っていると、こちらもさまざま。

わさびが簡単に手に入る場所であったことと、蕎麦にわさびをつけて食べる文化があった地域ではうどんの薬味は生姜に限るといったイメージはないようです。

さぬきうどん+わさびのお店を発見!

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とらやさんで 明うどん(大) #讃岐うどん#うどん #明うどん

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うどん巡りをしていて、さぬきうどんでぶっかけ+わさびという珍しい組み合わせのうどんを発見しました。

高松&坂出のうどん巡り【がもう】【日の出製麺所】【とらや】【一福】


その名も明うどん。坂出のとらやさんで食べられるちょっとした名物うどんです。
甘めのぶっかけだしはわさびを混ぜておいしく食べられるように調整されていて、うどんにわさび派にはたまらないおいしさ。
知る人ぞ知る人気メニューで、この明うどんをたべたくてとらやさんに訪れる人も多くいらっしゃいます。

うどんにわさびの違和感の正体とは

ということで、いろいろ調べてみた結果、うどんにわさび、蕎麦に生姜の違和感の正体は文化の違いでした。

今ある「うどんには生姜、蕎麦にはわさび」というイメージは、産地と歴史が深く関連していたことが分かっていて、水沢うどんのように薬味としてわさびが主流の地域ではうどんでもわさびが出されるということが分かりました。

とすれば、今は生姜もわさびも比較的簡単に手に入る時代なので、どちらを入れてもOKということで良いのではないかと思います。

気分によって食べ方を変えてみるもよし、生姜派、わさび派でその好みを貫くもよし。

食べ方は自由だと思いますので、ぜひみなさんのお好みの薬味でさぬきうどんを楽しんでください。